2025/12/23 | カテゴリー:Q&A
デイザービスと特別養護老人ホームの違いは?

どちらも介護保険サービスに含まれる施設ですが、利用される方の暮らし方、そこで働く職員の役割や1日の流れ、必要とされるスキルは大きく異なります。違いを理解せずに何となく職場を選んでしまうと、「思っていた介護のイメージと違った」とギャップを感じてしまうことも少なくありません。
この記事では、「デイサービスと特別養護老人ホーム(特養)の違いは?」というテーマを軸に、制度面の違いだけでなく、現場で働く職員の視点からも分かりやすく整理していきます。デイか特養かで迷っている方が、自分に合う職場をイメージできるようになることをゴールとしています。
通所か入所かという大きな違い
デイサービスは「日中だけ通う」通所型サービス

ご自宅を生活の拠点としながら、必要な時間だけ施設で過ごし、レクリエーション・入浴・機能訓練・昼食などの支援を受けます。
むさしの園デイサービスセンター入曽では、営業時間は8:30〜17:30。朝にご自宅へお迎えし、夕方にはお送りするため、生活のベースはあくまで「在宅」です。
利用者様は日中の数時間を安全に、楽しく、安心して過ごすために通所されます。
制度面では、デイサービスは要支援1~要介護5の方が対象となり、心身機能の維持や社会参加、家族の負担軽減を目的とした支援として位置づけられています。
特別養護老人ホームは「生活そのものを支える」入所型サービス

食事・排泄・入浴・移乗・就寝など日常の全てがケアの対象です。特養の対象者は原則要介護3以上で、自宅での生活が難しくなった方が長期的に生活する場所でもあります。医療ニーズの高い方、夜間の見守りが必要な方も多く、介護職だけでなく看護師・生活相談員・管理栄養士など、多職種と連携したチームケアが欠かせません。
通所と入所の違いが生む“働き方の差”
デイは日中の決まった時間帯に完結しますが、特養は24時間体制。そうした構造の違いが、仕事内容・シフト・関わり方に大きく影響します。
ご利用者様との関わり方の違い
デイサービス:日中の活動を一緒に楽しむ関わり方

スタッフは「今日一日をどう楽しく過ごしてもらうか」を意識しながら、声かけや雰囲気づくりを行います。
接客業に近いコミュニケーション
デイサービスの特徴は、介護に加えて接客的なコミュニケーションが求められる点です。ご利用者様の表情を見て声をかけたり、安心できる場をつくったりするなど、気配りが活きる場面が多くあります。
交代制のレクリエーションリーダー
レクリエーションでは職員が交代で進行役を務めます。人前で説明したり、盛り上げたりする機会が多く、自然と“伝える力”が育つ環境です。
特養:生活の場に寄り添う深い関わり方

食事介助、排泄介助、入浴介助、体位交換、移乗など、生活の一つひとつを丁寧に支えます。
細やかな観察と寄り添いが求められる介護
ご入居者様と長時間関わるため、「今日は少し元気がない」「この姿勢が落ち着く」といった細かな変化に気づく力が求められます。
長期的な関係性を築けるのは特養ならではの魅力です。
デイサービスならではの送迎業務
一日の始まりと終わりを支える送迎業務

ご利用者様とご家族に寄り添う大切な時間
車いすの乗降を手伝ったり、ご家族と短く情報交換したりと、送迎は「ただの移動」ではなく信頼関係を築く時間でもあります。朝の「おはようございます」、帰りの「また明日」がご家族の安心につながります。
運転が得意な方の強みが生きる仕事
運転とコミュニケーションが得意な方にとっては大きなやりがいになります。デイサービスならではの“外とのつながり”を感じられる仕事です。
特養には“毎日の送迎”はない
特養は施設内で生活されるため、デイサービスのような恒常的な送迎業務はありません。その分、生活介護に集中しやすい環境です。
制度面から見たデイサービスと特養の違い
デイサービスは“在宅生活を続けるため”の通所型サービス

心身機能の維持・社会参加を目的とした支援
デイサービスでは体操、機能訓練、創作活動、音楽療法など、個別・集団プログラムを通じて身体機能の維持向上をサポートします。外出機会をつくることが家族の休息にもつながり、地域生活を続けるための重要な支援です。
特養は“生活そのものを支える”入所型サービス

医療連携が欠かせず、夜間の見守りが必要な方も多いため、専門性の高いケアを複数職種で支えます。
医療的ケアや夜間の支援も必要
看護師の健康管理、急変時の対応、記録システム(むさしの園では音声入力にも対応)など、24時間体制ならではの介護が必要です。
生活リハビリを日常の中で自然に取り入れる点も特養の特徴です。
働き方・シフトの違い
デイサービス:日中固定で働ける安定した勤務スタイル

マルチな業務に対応する柔軟さが必要
レクリエーション・送迎・入浴介助・昼食介助など幅広い業務を担当します。
動きが多く活気のある職場で働きたい方に向いています。
特養:24時間体制で生活を支えるシフト勤務
特養では早番・日勤・遅番・夜勤を組み合わせた勤務で、夜勤は1か月4~5回が一般的です。
身体的負担はありますが、夜間介護ならではの視点や判断力が身につきます。
夜間ケアならではの経験が身につく
夜は静かな環境だからこそ、変化に気づく観察力や急変時の対応など、介護職としての専門性が磨かれます。
キャリアの広がり方の違い
デイサービスで広がるキャリアの方向性

地域支援に関わるスキルが強みになる
「どうすれば地域で安心して暮らせるか」を考える経験は、将来ケアマネジャーや相談員など、在宅系の専門職にもつながります。
特養で広がるキャリアの方向性
特養では身体介護の基礎から認知症ケア、看取り、医療連携など、より専門性の高いスキルを習得できます。ユニット型では個別ケア・判断力も求められるため、リーダー職を目指す素地が育ちます。
24時間ケアを経験して得られる専門性
夜勤を含む24時間ケアを通じて、観察力・判断力・リスク管理能力が身につき、将来的に管理職を目指す際にも強みとなります。
どちらの経験もキャリアの財産になる
デイサービスで培うコミュニケーション力と、特養で育つ生活支援の専門性はお互いに補完関係にあります。どちらが“正解”というものではなく、自分の目指したい介護職像に合わせて選択することが大切です。
自分に合う働き方を選ぶために
まずは「通所」と「入所」の違いを理解する
通所と入所の違いを理解することは、介護の仕事を選ぶ最初のステップです。利用者様の暮らし方の違いをイメージしながら、自分はどんな場面で力を発揮したいのか考えてみましょう。
デイサービスに向いているのはこんな人

デイサービスに向いているタイプ
- 明るい雰囲気の中で働きたい
- レクリエーションを盛り上げるのが好き
- 人前での進行役に抵抗がない
- 日勤のみの働き方を希望している
- 送迎業務にも取り組める
特養に向いているのはこんな人

特養に向いているタイプ
- 生活支援の基礎からしっかり学びたい
- ご利用者様と長く深く関わりたい
- 夜勤を含むシフト勤務に前向き
- 認知症ケアや医療的ケアに興味がある
- 専門性を高めてキャリアを広げたい
どちらの働き方も“正解”。自分に合う環境を選ぶことが大切

日中のレクリエーションや送迎を通じて多くの笑顔に触れたい方はデイサービスを、生活の細部に寄り添いながら技術を磨きたい方は特養を選ぶと、ギャップの少ないスタートが切れるはずです。ご自身の強みや将来のビジョンに合わせて、長く続けられる働き方をぜひ見つけてください。













